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人は正しい指示より、“自分で選んだ感覚”で動く
仕事で人に動いてもらおうとするとき、
「正しいことを言えば動くはずだ」
と思ってしまうことがあります。
たしかに、指示の内容が正しいことは大事です。
でも実際には、正しい指示を出したのに相手が動かないことは少なくありません。
逆に、完璧な指示ではなくても、本人が納得していると驚くほど動くことがあります。
この違いはどこにあるのか。
それは、自分で選んだ感覚があるかどうかです。
仕事の動機づけでは、やる気の量だけでなく、どんな理由で動いているかが重要だとされています。
人は、押しつけられて動くよりも、自分なりに意味を理解し、選んで動いていると感じられるときのほうが、質の高い動き方をしやすくなります。
特に、考える力や工夫が必要な仕事では、その差が大きく出ます。
たとえば、
「これを今日中にやっておいて」
と言われて動くことはできます。
けれど、それだけでは“やらされている仕事”になりやすい。
一方で、
「今日中にここまで進めたい。理由はこの後の工程に影響するから。進め方はやりやすい形で考えていい」
と言われると、同じ仕事でも受け止め方が変わります。
前者は命令に近く、後者は理解と裁量があります。
この違いが、自発性を生みます。
ここで大事なのは、「好きにやっていい」と丸投げすることではありません。
人は放置されたいのではなく、尊重されながら任されたいのだと思います。
目的が分かること。
自分の考えを少しでも反映できること。
やり方に一定の自由があること。
こうした要素があると、人は“自分で選んだ感覚”を持ちやすくなります。
経営者や上司がやりがちなのは、急ぐあまり、結論だけを渡してしまうことです。
「とにかくこうして」
「まずこれをやって」
「余計なことは考えなくていいから」
こうした言い方は、その場では早いように見えても、長い目で見ると考えない組織をつくりやすい。
言われたことしかやらない、指示がないと止まる、自分で判断しない。
そういう状態は、本人の能力不足というより、関わり方の積み重ねで起きていることも多いと思います。
逆に、
「どう進めるのがやりやすい?」
「このやり方と別のやり方なら、どちらが現場に合う?」
「目的はここだけど、方法は任せるよ」
そんな関わり方をされると、人は少しずつ自分で考え始めます。
仕事で本当にほしいのは、“言われたから動く人”ではなく、意味を理解し、自分の意志で動ける人のはずです。
そのためには、正しい指示を増やすことより、相手の中に納得と選択の余地をつくることのほうが大事です。
まとめ
人は、正しい指示だけでは長くは動きません。
動き続けるのは、自分で選んでいる感覚があるときです。
もちろん、指示や基準は必要です。
けれど、その中に
「なぜやるのか」
「どこまで任せるのか」
「どう考えていいのか」
が入っているかどうかで、相手の動き方は変わります。
人を動かすとは、ただ命令することではありません。
相手の中に、自分で動く理由を育てることなのだと思います。