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社員の本音は、普段の会話に出る
「何かあったら言ってね」
そう社員に声をかける場面があると思います。
でも実際は、本当に大事なことほど、あらたまった面談や会議の場では出てこないことが多々あります。
むしろ、ちょっとした雑談や、仕事の合間の何気ない一言の中にこそ、社員の本音は出るのではないかと感じます。
たとえば、
「最近ちょっと仕事が重なってて…」
「ここ、前から少しやりづらいと思っていました」
「〇〇さんが助けてくれて本当に助かりました」
こういう言葉は、一見するとただの会話に見えます。
でも実はそこに、負担感、不満、感謝、人間関係、仕事のしやすさ、組織への信頼感など、いろいろなものがにじみ出ています。
社員の本音というのは、いきなり「実は会社に対してこう思っています」ときれいな形で出てくるものではありません。
少しぼかした言い方だったり、遠慮した表現だったり、冗談っぽく言ったりしながら、少しずつ出てくることのほうが多いと思います。
だからこそ、普段の会話をただの雑談として流してしまうのは、もったいないのではないかと思うのです。
実際、パーソル総合研究所の調査でも、職場で本音を話せない背景には、評価が下がりそう、関係が悪くなりそう、真剣に受け取ってもらえなさそうといった不安があるとされています。
逆に、本音で話せる職場ほど、働く幸せ実感やエンゲージメント、個人パフォーマンスが高い傾向があるとまとめられています。
※引用元:「職場の対話に関する定量調査」を発表本音・本心によるコミュニケーションは、職場の変化・改善・革新を促進する – パーソル総合研究所
つまり社員は、言いたいことがないのではなく、言い方や場を選んでいるのです。
会議では言いにくい。面談では少し構えてしまう。
だからこそ、普段のちょっとした会話の中で出てくるサインを、上に立つ人間が拾えるかどうかが大事になってきます。
ここで大切なのは、社員の言葉を“正しいかどうか”でまず判断しないことだと思います。
「それは違う」「それは考えすぎだ」「でも会社としてはこうだから」とすぐに返してしまうと、その場で会話は終わります。
すると社員は、「言っても無駄なんだな」と感じて、次から本音を出さなくなります。
本音が出なくなると、問題は消えるのではなく、見えなくなるだけです。
また、海外のある研究機関では、心理的安全性とは、質問・意見・懸念・失敗について話しても、罰せられたり恥をかかされたりしないと信じられる状態だと説明されています。
率直に話せる職場では、質問、提案、違和感の共有、反対意見といった行動が生まれやすくなり、結果として組織の柔軟性や改善力、イノベーションにもつながるとされています。
私は、強い会社というのは、問題がない会社ではなく、問題や違和感が小さいうちに表に出る会社だと思っています。
そのためには、立派な制度だけでは足りません。
日頃から話しかけやすい空気があるか。
上司や経営者が、忙しいときほど雑に人を扱っていないか。
ちょっとした一言を、ないがしろにしていないか。
そういう積み重ねのほうが、実は大きいのではないでしょうか。
あらたまった会議では静かでも、休憩中にはよく話す社員。
全体の場では遠慮するけれど、少人数だと意見を言う社員。
冗談っぽく言いながら、実は困りごとを出している社員。
そういう姿を見ていると、本音は“言わない”のではなく、言える形で出しているのだと思います。
それを受け止められるかどうかで、その後の信頼関係はかなり変わってくるはずです。
経営者として大事なのは、社員に本音を無理に吐き出させることではなく、本音が自然と出てくる関係や空気をつくることだと思います。
そのためには、普段の会話を軽く見ないことです。
何気ない一言の中に、会社を良くするヒントがある。
そう思って耳を傾けるだけでも、見える景色は変わってくるはずです。
社員の本音は、アンケートの中だけにあるわけではありません。
面談の時間だけにあるわけでもありません。
日々の「おはようございます」の表情、ちょっとした相談の言い方、雑談のトーン、何気ない一言。
そういう普段の会話の中にこそ、その人の本当の気持ちは表れるのだと思います。
だから私は、会社の空気を知りたければ、会議室の中だけを見るのではなく、普段の会話を大事にしたいと思っています。
社員の本音を知ることは、社員を管理するためではなく、もっと働きやすく、もっと力を発揮できる会社にしていくために必要なことだからです。
皆さんは、社員の本音に気づけていますでしょうか?