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経営者こそ、健康管理を“仕事”に入れるべきである
「最近、自分の健康管理まで手が回っていますか?」
社員の体調や働き方を気にかける経営者は多いと思います。
でもその一方で、自分のことになると後回しになっている。
これは経営者にはかなり多いのではないでしょうか。
経営者は、常に考えることが本当に多いです。
売上、人材、採用、資金繰り、お客様対応、将来の投資、会社の方向性。
常に頭を使い、気を張り、判断を求められる立場です。
だからこそ、経営者の健康は単なる個人の問題ではなく、会社の判断力そのものに関わる話だと思います。
体調がいいときは、同じ問題でも落ち着いて見られます。
人の話もちゃんと聞けますし、少し先のことまで考えられます。
でも、疲れが抜けていない、寝不足が続いている、気持ちに余裕がない。
そうなると、視野は狭くなりやすい。
必要以上にイライラしたり、悲観的になったり、判断が短期的になったりすることもあります。
経営者の健康状態は、数字に出る前に、まず判断や空気に出るのだと思います。
ある公的な健康経営の資料でも、健康への取り組みは、働く人の活力向上や生産性向上などの組織活性化につながり、結果として業績向上にもつながると整理されています。
この考え方は、社員だけではなく、会社の中心にいる経営者にも当てはまるはずです。
特に経営者は、「多少の無理は当たり前」と思いやすい立場です。
忙しいのは当然。休めないのも当然。
体調が悪くても予定を優先する。
健康診断も先延ばし。
食事も適当。
寝る時間も削る。
こうしたことが積み重なると、ある日急に大きく崩れることがあります。
そして経営者が崩れると、その影響は本人だけで終わりません。会社全体が揺れます。
ある国際機関では、バーンアウトは、うまく管理されなかった慢性的な職場ストレスによって生じる状態と説明されています。
特徴として、強い疲労感、仕事への心理的距離、仕事の効果が落ちた感覚などが挙げられています。
つまり、ただ疲れているだけではなく、「向き合い方」や「働く力」そのものが落ちていく状態です。
経営者は責任感が強い分、「まだ大丈夫」と思ってしまいがちです。
でも本当に怖いのは、倒れる直前ではなく、その前の段階だと思います。
集中力が落ちる。
人へのあたりが少し強くなる。
考えるのが面倒になって、後回しが増える。
新しいことを考える余裕がなくなる。
こういう変化は小さく見えて、実はかなり大きい。
会社のスピードも、雰囲気も、少しずつ落ちていきます。
その中でも、軽く見ないほうがいいのが睡眠です。
ある海外の公衆衛生機関では、睡眠不足は脳の重要な働きを乱し、認知機能を低下させるとされています。
つまり、考える力、集中する力、整理する力に影響するということです。
経営者の仕事は、体を動かすこと以上に、思考し、判断することです。
そう考えると、睡眠を削ることは、時間を増やしているようでいて、実は思考と判断の質を削っている可能性があります。
では、経営者の健康管理で何が大事か。
私は、特別なことよりも、まずは崩さないための基本を持つことだと思います。
ひとつは、睡眠を仕事の一部として考えることです。
眠くなったら寝る、ではなく、判断力を保つために寝る。
次の日のパフォーマンスをつくるために寝る。
そう考え方を変えるだけでも、睡眠の優先順位は上がります。
ふたつ目は、食事を雑にしないことです。
忙しい経営者ほど、朝を抜いたり、昼を急いで済ませたり、夜にまとめて食べたりしがちです。
でも、体調が安定しないと、気分も判断も安定しません。
毎日完璧でなくてもいいので、食べない、偏りすぎる、飲みすぎるを当たり前にしないことが大事だと思います。
三つ目は、定期的な検査や通院を先延ばしにしないことです。
経営者は「この時期を越えたら行こう」と後回しにしがちですが、その“この時期”はだいたい終わりません。
本当に忙しい人ほど、先に予定に入れてしまったほうがいい。
体の不調は、気合いで消えるものではないからです。
四つ目は、軽い運動や体を動かす習慣を持つことです。
ジムにしっかり通うところまでいかなくても、少し歩く、階段を使う、短時間でも体を動かす。
そういう小さなことでも、体の重さや気分の滞りはかなり違ってきます。
デスクワークも多く、移動も車中心になりやすい経営者ほど、意識して動かないと、本当に動かなくなります。
五つ目は、一人で抱え込みすぎないことです。
経営者は、悩みを人に見せにくい立場です。
でも、考えごとが頭の中に詰まり続ける状態は、それだけで心身に負担がかかります。
信頼できる相手に話す。
整理する時間をつくる。
全部を自分の中で処理しようとしない。
これも健康管理の一つだと思います。
六つ目は、予定表の中に“休む”を入れることです。
空いたら休む、ではなく、休む時間を先に押さえる。
経営者は空いた時間に仕事を入れるのが得意ですが、休みだけは意識して確保しないと、永遠に後回しになります。
結果として、いつも疲れた状態が普通になってしまいます。
私は、経営者の健康管理は、気合いの話ではなく、管理の話だと思っています。
売上を管理する。原価を管理する。人員を管理する。
それと同じように、自分の睡眠、体調、疲労、検査、休み方も管理する。
ここを感覚任せにすると、会社の大事な部分まで感覚任せになりやすい気がします。
※そう言っている自分自身もなかなか管理できていませんが(笑)
社員に「無理しすぎるな」と言いながら、社長だけが無理を続けていたら、会社の空気は結局そちらに引っ張られます。
逆に、経営者自身が健康を大切にしている会社は、働き方の考え方も自然と健全になりやすい。
上に立つ人の姿勢は、思っている以上に周りに伝わります。
経営者は、会社のために頑張る人です。
だからこそ、その頑張りを長く続けるための土台が必要です。
勢いだけで走る時期があってもいいと思います。
ただ、それを何年も続けるのは難しい。
会社を長く守るなら、まず自分が長く走れる状態でいなければいけない。
その意味でも、健康管理は“できたらやること”ではなく、経営の一部として考えたほうがいいのだと思います。
会社を守る責任があるからこそ、自分の体と心を守ることも経営者には必要なのです。