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部下が育たないのは、能力の問題ではなく“ラベリング”かもしれない
部下がなかなか伸びないとき、
「この人は慎重すぎる」
「この人は気が弱い」
「この人はまだ任せられない」
そんなふうに、その人をひとことで表したくなることがあります。
もちろん、特徴をつかむこと自体は悪いことではありません。
問題なのは、その特徴がいつの間にか固定したレッテルになってしまうことです。
一度「この人はこういう人だ」と決めてしまうと、その後はその見方に合う行動ばかりが目につきやすくなります。
そして本人もまた、その扱われ方の中で少しずつその通りの動きをするようになることがあります。
ある解説では、ラベリングとは、十分な根拠がないまま相手に「こういう人だ」と決めつけることであり、そのラベルが相手の行動や自己認識にまで影響することがあるとされています。
たとえば、
「この人は要領が悪い」
と思われた部下には、難しい仕事が回ってきにくくなります。
説明も簡単なものだけになる。
判断を任される機会も減る。
すると本人は経験を積めず、ますます成長の幅が狭くなる。
そして周囲は「やっぱりこの人は伸びない」と感じる。
でもそれは、本当に能力の問題だったのか、見方と扱い方の問題だったのか、考えなければいけません。
反対に、
「この人は伸びる」
「任せれば考える」
と見られている人は、少し難しい仕事を渡され、意見も求められ、挑戦する機会が増えます。
そうすると本人も、その期待に応えようとしやすくなります。
つまり、人は能力だけで育つのではなく、どう見られ、どう扱われるかによっても大きく変わるのです。
部下育成がうまくいかない会社では、本人の課題より先に、周囲の見方が固まっていることがあります。
「期待株」
「手がかかる人」
「慎重な人」
「雑な人」
そうした言葉は分かりやすい一方で、その人の可能性を狭めてしまいやすい。
一度貼られたラベルは、評価だけでなく、任せる仕事、関わり方、声のかけ方まで変えてしまいます。
大事なのは、特徴を見るなということではありません。
特徴をその人の全体にしないことです。
「慎重な面がある」ことと、「慎重な人だから任せにくい」は違う。
「まだ経験が浅い」ことと、「この人はまだ無理」は違う。
ここを雑にまとめてしまうと、育成は止まりやすくなります。
また、ラベリングは言葉に出していなくても伝わります。
仕事の振り方、確認の仕方、任せる範囲、相談のされ方。
そうした日々の態度から、本人は「自分はどう見られているか」を感じ取っています。
だからこそ、育成では、言葉以上に関わり方が大切です。
部下が育たないと感じたとき、
本人の能力だけを見る前に、
こちらが先にその人を決めつけていないかを見直してみる。
それだけでも、関わり方はかなり変わるはずです。
まとめ
部下が育たない理由は、能力不足だけとは限りません。
もしかすると、その人に貼られたラベルが、成長の幅を狭めているのかもしれません。
人は、どう見られているかに影響を受けます。
期待されれば伸びやすくなり、決めつけられれば、その枠の中に閉じ込められやすくなる。
だから育成では、課題を見ること以上に、可能性を閉じない見方が大事です。
部下を育てるとは、教えることだけではありません。
その人を、今の評価だけで決めつけず、これから変わる存在として扱うこと。
その積み重ねが、育つ組織をつくっていくのだと思います。